愛は測れない

 野田岩麻布本店に入ってすぐに、兼次郎さんにお逢いできますかね、と言ったら呼んできますと言ってくださった。五代目が登場する。数日前NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」を動画で観たけれど、そのときは85歳でいらした。91歳。国宝です。いや世界の宝です。その動画では毎回10分丁寧に歯みがきをしているとおっしゃっていたので、ほんの数日ですがそこだけはまねしている。そこしかまねできそうなところがなかったし。自分を丁寧に扱うということなのかも。これだけでも大変な仕事だと感じた。ありがたくてありがたくてただただ握手していただく。お手が柔らかい。

 しばらくして「天然うなぎ、自分で焼きました」と。ご本人自ら来てくださる。注文していないし。まさか天然なんてあるとは思わなかったし。信じられない出来事にふたりで固まる。「開けてみて」と言ってくださる。そろりと開けると、香ばしい香りとともに、焦げ目の全くない美しいうな重が出て来る。合掌するしかできない。ひと口食べては長いハイタッチをすること2回。今地球上で私たちが一番幸せなのではないかと思われる。脂が上品で身が柔らかくてこの世のものとは思えないほどおいしい。こんなの初めて。

 おしゃべりな私たちがほとんど何も声を発せずに食べる。時おり思わず口にしてしまうおいしいという言葉が雑音のように聞こえる。本物の前にあって言葉は役に立たない。いっしょにお写真を撮ってくださり、玄関外まで出て見送ってくださる。柔らかい、後光が差しているお姿。そぎ落としそぎ落としていった先にあるのは「ただの存在」なのかもしれない。そしてそれこそが愛そのものなのかも。神そのものなのかも。ありがたすぎます。

 その後、名前を間違えて呼ばれた。えっ。ちょっと。私りえこなんですけど。笑。

 でもなんだか落ち込んでいるからかわいそうになって力づけてしまった。この場合通常は呼ばれた方が怒ったりするんじゃなかったかしら。励ましている私って。笑。

 そしたら、以前私のほうが間違えて呼んだことを指摘された。確かに一文字間違えて呼んだ記憶がある。うまくごまかしたつもりでいたが気づいていたとは。「一文字合っていたからいいやって思った」と言っている。笑いすぎて涙が出た。

 私たちはつきつめたらただの存在に過ぎない。名前も肩書も年齢もすべてが後付けだ。そんなこと気にして時間を無駄に過ごすより存在同士のダンスを楽しもう。深く調和してリズムを合わせてお互いのなかに溶け込もう。

 真夏の海辺に立っていた。ゆずの夏色のように海の見える坂道をゆっくりゆっくり下った。トンビまでがあおられてまっすぐに飛んでいない海風だけれど、私たちには心地よい。

 夏の終わりにもまたここに来よう。

 今日も最高のエクスタシーを。

Sex Coach Amara

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